SPCCはどんな材質?
SPCC(Steel Plate Cold Commercial)は冷間圧延鋼板であり、SPHC(熱感圧延鋼板)を常温下でロール加工し、薄く延ばした材料になります。また、コールド材やミガキ材と呼ばれることもあります。

現場や職人さんの間では、コールド材やミガキ材と呼ばれる方が多い印象です。
特徴として柔らかく加工性に優れているため、幅広い用途で利用されています。例えば、自動車部品や家電製品などの製造です。その一方で、(ミガキ材と呼ばれる所以でもある)表面に保護膜がないため、錆びやすく塗装やメッキ処理などの表面処理が必須となります。
SPCCのJIS規格とISO規格
SPCCは、日本工業規格(JIS)および国際標準化機構(ISO)の規格に準拠しています。
JIS規格 | JIS G 3141 |
ISO規格 | ISO 3574 |
JIS規格では、SPCCは「冷間圧延鋼板および鋼帯」として定義されており、具体的な寸法や品質基準が定められています。ISO規格では、SPCCは「冷間圧延鋼板」として分類されており、国際的な品質基準に従っています。
また、厳密には「SPCC」はJIS規格での呼称となり、ISOでは別呼称で定義されています。
SPCCの標準板厚
SPCCの標準板厚は、一般的に0.1mmから6.0mmの範囲で提供されています。3.2mmと記載のある情報もありますが、2017年までの規格を参考とされており、2021年改訂版から6.0mmまでに変更されました。
SPCCとSPCD,SPCE,SPCF,SPCGの違い
上述で紹介したJIS規格とISO規格の中には、SPCC以外に以下の冷間圧延鋼板が規定されています。
JIS規格 | ISO規格 | 用途 |
---|---|---|
SPCC | Commercial | 一般用 |
SPCD | Drawing | 絞り用 |
SPCE | Deep drawing | 深絞り用 |
SPCF | Deep drawing aluminium killed | 非持効性深絞り用 |
SPCG | Extra deep drawing | 非持効性超深絞り用 |
いずれも特徴は似ていますが、化学成分含有量の違いがあり、絞り加工が必要な場合など、加工がしやすい材料を選ぶ場合があります。
SPCCの機械特性
SPCCの機械特性に規定はありません。ただし、SPCD, SPCE, SPCF, SPCGについては規定があることや、受渡当事者の協定内でSPCCについても規定する場合もあるので注意しましょう。
参考規格
- JIS G 3141 : 2017
- JIS G 3141 : 2021
- ISO 3574