製造業やものづくりにおいて、規格は品質や安全性を確保するために非常に重要です。よく耳にするJIS規格やISO規格はどんなものなのか?他にはどんな規格があるのか?
この記事では、国内および国外の主な規格についてまとめています。
JIS規格とは
JIS規格(日本工業規格)は、日本国内で使用される工業製品の標準規格です。目的は以下の内容となっていますが、一言でまとめると「製品やサービスの品質や性能基準を定め、秩序を保つこと」と言えるでしょう。
多様化、複雑化、無秩序化してしまう「製品」や「サービス」などについて、 ①互換性・インターフェースの整合性の確保、生産効率の向上、品質の確保、 ②安心・安全の確保、消費者保護、 ③正確な情報の伝達・相互理解の促進、 ④環境保護(省エネ、リサイクル等)、 ⑤高齢者・障がい者への配慮、 ⑥研究開発による成果の普及、企業の競争力の強化、貿易の促進など、それぞれの観点から、技術文書として国レベルの「規格」を制定し、 これを全国的に「統一」又は「単純化」することであると言えます。
JISC 日本作業標準調査会より
また、JISの制定は、工業会や学会等に設置された利害関係者から構成される「原案作成委員会」でJIS原案がとりまとめられ、主務大臣と日本産業標準調査会(JISC)を通して、最終的に主務大臣により制定、改正等(要は認定)がされます。
ISO規格とは
ISO規格(国際標準化機構)は、国際的に認められた標準規格で、もっともメジャーな規格といえるでしょう。JIS規格もISO規格が元になっていることも多いです。
ISOもJIS規格同様に、製品やサービスの品質を向上させるためにあり、さらに国際的な取引を円滑にする役割を果たします。
ANSI規格とは
ANSI規格(米国国家規格協会)は、アメリカ国内で使用される標準規格です。ANSIは、製品の品質や安全性を確保するための基準を提供し、アメリカ国内の産業を支援します。

業界にもよりますが、ISO規格に比べると引用される機会は少ないものの、バルブの鋼材規格として引用される等、それなりに目にする機会が多いです。
ASTM規格とは
ASTM規格(米国材料試験協会)は、American Society for Testing and Materialsと略で、その名の通り、材料の試験方法や性能基準を提供する規格です。ASTMは、材料の品質を評価するための基準を提供し、製品の信頼性を向上させます。
ASME規格とは
ASME規格(米国機械工学会)は、機械工学に関連する標準規格です。ASMEは、機械の設計や製造に関する基準を提供し、製品の安全性と性能を保証します。
ものづくりや製造業ではよく目にする規格のひとつと言えるでしょう。
UL規格とは
UL規格(米国保険業者試験所)は、製品の安全性を評価するための規格です。ULは、電気製品や電子機器の安全性を確保するための基準を提供し、消費者の安全を守ります。
ゴム製品などで、難燃性の規格としても有名です。
MIL規格とは
MIL規格(米国軍事規格)は、軍事用途に使用される製品の標準規格です。MIL規格は、軍事製品の品質や性能を保証するための基準を提供し、軍事作戦の信頼性を向上させます。
軍用規格ですが、海外では工業用品にも参照されるケースが少なくありません。
DIN規格とは
DIN規格(ドイツ工業規格)は、ドイツ国内で使用される標準規格です。DINは、製品の品質や性能を保証するための基準を提供し、ドイツ国内の産業を支援します。
フランジなどで耳にする機会も多いでしょう。